ルネサス懇、人的施策を語り合う。

− まとめ −

【まとめ】

A) 議論も尽きませんが、そろそろまとめに入らせてください。
 今回は人的施策の具体的な展開にはあまり触れずに、基本的な考え方とか、全体の流れを把握する方
 向で議論を進めさせてもらいました。その流れの中心にあるのは、やはり産業の空洞化である様です。そ
 れも、単に製造工場が海外進出すると言う空洞化に留まらず、企画や設計や営業などの機能を含めて、
 一貫して現地の人材に請負わせる形での空洞化の段階に入ったと、はっきり感じます。これから先、国内
 の社員には、構造的に厳しい時代が訪れそうな予感がします。そう言ってしまうと、何だか危機感を煽って
 いるかの様ですが、多少大げさにでも危機を説くほうが、危機は無いのだと嘘をつくよりも、はるかに罪は
 軽いでしょう。
  こうした産業の空洞化は、企業のグローバル化、ひいては市場のグローバル化によって引き起こされて
 いるのでしょうし、日本の人口が減少局面に入り、相対的に市場規模が縮小を続ける見込みである以上、
 市場のグローバル化が進展する限り続く可能性があると見た方が良いのではないでしょうか。ルネサスと
 言う会社についても、もし今後事業規模が拡大するのだとすれば、それはあくまで日本人の日本人による
 日の丸半導体企業としての拡大なのか、海外にシフトしつつの拡大なのか、いずれの姿を想像するのが、
 より自然でしょうか。私達は底流の構造的変化に気付く必要があるのではないでしょうか。
  しかし私達の目的は、救いようの無い議論をする事ではありません。そして、こんな時だからこそ、会社
 とは何か、何のために存在するのかを、もう一度確認しましょうと話し合いました。会社の最大の目的は、
 何よりも本業を通じて社会に貢献することであり、利益が第一ではありませんね。しかし会社はその生産
 活動を通じて、人間にも環境にも、多大なマイナスの影響を与え続けます。だから、利益だけが価値であ
 るかの様な一本の価値観で全てを判断しようとせず、会社を功罪の両面から捉える見方が必要になって
 来るでしょう。そうすれば、私達にとって本当に必要な社会のあり方、その社会の中での会社という存在
 のあるべき姿も見えて来るに違いありません。
  当面の労働運動の個別局面においては、一見グローバル化の流れとは逆行するかの様な活動を、従
 来どおり行っていく事になるでしょう。国内工場が閉鎖になる話があれば、全力で反対しましょう。国内雇
 用の確保は絶対に譲れない大前提です。賃上げの要求も続けます。一企業が全ての問題解決能力を持
 っている訳でない事は百も承知です。それでも、あるべき姿の実現に企業を嫌が上でも巻き込むために
 は、企業側を矛盾の渦中に引きずり込まないとダメです。
  労使協調のまま、今を我慢すれば将来は明るくなるのではないかと、少なくともここ10年以上にわたっ
 て私達は我慢を続けて来ました。その間に会社を去った仲間も大勢いました。これから先も同じ様な我慢、
 同種だけどよりきつい我慢を続けて行くのかどうか。それとも、もっと他に頑張り方があるのかどうか、私
 達で今後更に考えて行きたいと思います。
  今日は長時間の議論、お疲れ様でした。時間も18時を回り、外はすっかり暗くなっていますね。ここから
 続きの話は、その辺のお店でビールでも飲みながら語り合うとしましょう。



 ※本議論は、11月21日までの情報を元になされています。冒頭で早期退職については、今のところ問題
  なしと書いていますが、その後11月末になって、退職強要に遭っているとの相談が社員から寄せられて
  いる事を付記しておきます。