ルネサス懇、早期退職制度を語り合う。

− 労働組合に求めること −

− 労働組合に求めること −

A) 労働組合には何を求めますか。そもそも今回の提案を労働組合はまだ正式に受け入れてはいないと
 言っています。では撤回するのかどうか。皆さんはどう予想しますか。

D) 労働組合が早期退職を受け入れることは間違いないでしょう。今まで受けなかった事がありましたか。

C) 背景となっている状況を見ておく必要があります。会社はおそらく、意図的にマスコミに対して早期退
 職の実施をリークしているのではないかという話がありましたね。そして正味3000人の人員削減を2012
 年までに実行する事をコミットしています。その重要な構成要素として早期退職が位置づけられているの
 です。1200名という想定人数を達成するための、内部的な目標人数くらいは当然あると推理すべきでしょ
 う。会社単位、職場単位で大まかな目標人数の設定が為され、今頃部長クラスは、「君の部署から何人く
 らい出そうか」と聞かれているのではないでしょうか。それはともかく、会社が明確な意図を持ち、社外に
 コミットして実行するものを、今の労組の抵抗力で跳ね返す事を期待するのは、無理があるのではないで
 しょうか。EL労組には無理でしょう。RT労組はどうですか。

A) 残念ながら無理だと思います。それどころか、面談の実施を防ぐのも極めて困難でしょう。早期退職自
 体が明確な意図を持って実行される限り、その遂行の確実性を担保する面談の実施は、欠くべからざるも
 のだからです。「募集しました。集まったのは100人でした。」では困るのです。

B) では労働組合には何を期待したら良いのでしょうか。

A) ひとつは早期退職制度を恒例行事化させないことです。今回会社は、40代がだぶついているからスリ
 ム化したいと言いました。この理屈を認めてしまえば、取り返しのつかないことになります。スリム化のため
 の早期退職は認めない、あくまでも希望者を対象にすべきと言う線で、頑張りとおす必要があると思います。

D) 何だかぱっとしませんね。それでは前回と変わらないではないですか。良いですか、EL労組は2008
 年の早期退職のあとで、2度とこんな事をやるような経営にしてはいけないと委員長がコメントしているの
 ですよ。それがたった2年でこのざまです。どう言い訳するつもりでしょうか。

C) 会社の一方的な提案まで労組に責任を求めるのは間違いでしょう。それより大事なのは、これからどう
 するかだと思います。さっき早期退職の撤回も面談の回避も無理だと言いましたが、実は方法が2つあり
 ます。ひとつは早期退職や面談の実施自体が誤りだと証明することです。可能なら会社の業績改善にとっ
 てむしろ弊害であることを証明するのです。2つ目は、組合員の総意として、早期退職に反対であることを
 明確な意志として示すのです。嫌なものは嫌と言うことです。

A) その通りです。そのためには、評議員の役割がとても重要になりますね。職場の総意を確認して、評議
 委員会に持ち上げていかないといけません。

B) 私も過去に何年か評議員をやりましたけど。それって結局、撤回できる可能性は皆無だと言っているの
 と同じではないのでしょうか。

D) EL労組で言うと、2008年のときには、早期退職を組合として受け入れるか否かについて、委員会の
 議決にはかりました。その時には賛成31票に対し反対が9票入りました。私の記憶では、NEC労組の時
 代から通算しても、これだけ反対票が入ったケースを知りません。ひょっとしたらこの結果が、当時の会社
 に対する縛りとなって、本体の組合員の退職者を減らすのに役立ったかも知れないと思います。

A) それはあるでしょう。職場は結構激しく抵抗したのですね。反対意見がたくさん来るだけでもインパクト
 はあると思いますよ。冷めている職場がある一方で、危機感を募らせている職場だってあるはずです。

D) そういえば当時は、職場会に大勢集まって、いろんな意見が出ました。ふと気が付いたのですが、EL
 労組はこの春闘で一度も職場会をやっていないような気がします。少なくとも私の職場ではありませんで
 した。なぜだろう。もしかしたら今回も職場に対する説明がWEBの情報だけで終わる可能性もあるかも
 知れません。

B) それはひどすぎますね。民主主義の放棄です。EL労組はホームページが綺麗だし、情報のアップも
 早そうだと思っていたんですけどね。実はそれが情報展開のほとんど全てだという事ですか。RTは曲がり
 なりにも現場で意見収集をしていますよ。

D) EL労組はトップダウンの傾向が強いのです。職場での意見収集はあまり出来ていませんね。

A) まとめましょう。労働組合には、まず早期退職が習慣化しないように、スリム化施策という会社の方針
 を撤回させることを求めたいです。次に、とにかく職場の意見を聞くこと。そして早期退職を受けるかどうか
 の判断を、組合の議決機関にて審議することです。委員長の過去の発言との整合性というのは組織とし
 て重要です。会社の一方的な提案そのものに労組の責任はありませんが、労組として当たり前の対応は
 期待したいところです。

B) ひとつ確認ですが、それで結局、組合員の総意として早期退職に反対しませんとなってしまったら、ど
 うするのでしょうか。私には99%そうなりそうな気がするのですが。

D) 正当な議決を以って、そのようにジャッジされるのであれば、受け入れるべきでしょう。厳しいですが、
 それもまた民主主義だと思います。

A) ヒトラーのナチスドイツなどは、民主主義の手続きに則って独裁政権を樹立し、ユダヤ民族の大量虐殺
 などをやりました。民主主義とは何なのか、手続きの合理性を問えばそれで良いのか。私はそうは思いま
 せんが、これについては難解ですので、また違う機会に話しましょう。