ルネサス懇、早期退職制度を語り合う。

− 退職勧奨は起きるか −

− 退職勧奨は起きるか −

A) 早期退職をどう見るかについては、ある程度我々の見解を持つことができたと思います。では次に、
 早期退職がどのような展開を見せるのか予想してみましょう。

C) 前回のELは、面談回数が2回きりに制限されていました。1回目が制度の説明のためで、2回目が意
 志確認です。だけど、職場によっては退職勧奨と取れる面談が行われていたと聞いています。

B) それは噂ですか、それとも事実ですか。

C) 事実です。具体的にはNMSの社員を対象に退職勧奨があり、それを受けた数人が電機ユニオンに相
 談に来ています。このときの模様は電機ユニオンのホームページのユニオンニュースの2008年3月〜5
 月に載っていますので参照してください。

B) それで労働組合はどう対処しましたか。

D) EL本体の労働組合は、退職勧奨があったら連絡するようにと全組合員に通知を出しました。そのあと、
 組合員から8件の問い合わせが行ったと報告がありました。ただしその8件に重大な問題はなく、運用面
 で起きた不適切については是正させたとか何とか。2年半くらい前の委員会の議事録に書いてありました。

A) つまり労組は必ずしも実態を把握していないという事ですね。相談先として労組が選ばれていないと言う
 可能性はどうですか。

C) その可能性はあると思います。前回の早期退職では、電機ユニオンにも多数相談が入りました。その
 相談者の半分は管理職でしたね。管理職は組合がありませんので当然ですが、残りの半分は組合員で
 した。その方たちからは、労組に対しては失望していると言う様な意見が多かったと思います。

B) 私は早期退職の対象年齢で無くて申し訳ないのですが、「仮に面談をするとしても、退職勧奨なんて
 まず起きないんじゃないか、上司だって人間なんだから、そんなひどいことをするなんて、ちょっと信じられ
 ない」と言う声も聞きます。

A) 確かに、多くの上司は退職勧奨などしないでしょう。しかし、人間だからこそ、退職勧奨が出来るのだと
 言うことも忘れてはいけません。ひとつ例をお話しましょう。最近、電機ユニオンに相談に来た人の中に、職
 場でひどいパワハラにあってメンタルヘルスを病み、長期休職に入ったあと、回復して職場復帰しようとして、
 それを阻止された人がいます。会社の人事マネージャーにだまされて、病気が治ったという診断書を休職
 期間の満了する月末まで治っていないという記述に、書き換えてしまったのです。それで休職期間満了ま
 で病気が回復しなかったからという理由で自然退職扱いにさせられてしまいました。
  私はこの人事マネージャーには罪の意識など何ら無かっただろうと見ています。この人は、不要と見なし
 た人材は、どんな汚い手段を使ってでも会社から放り出すのが正しいと言う自らの信念に従っただけなの
 でしょう。

B) そんな奴、人間じゃありませんよ。

A) いいえ、紛れもなく人間です。人間が壊れるとは、まさにこういう事を言うのだと思います。

C) そうやって既に鬼と化してしまった人も居るかも知れませんね。しかし例えば管理職から先に早期退職を
 利用すべきだ言う人がいます。これなども危険ではないでしょうか。面談をする部長クラスが、一番プレシャ
 ーがかかっているに違いありません。そんな時に、自部門の部下が、そのような発言しているのを聞けば、
 当の上司は「何だ、この野郎」と思うかも知れません。わざわざ人を鬼にする様な発言は、厳に慎んだ方が
 良いと思います。

A) そうですね。それから、経営者に対する責任追及が、いつの間にか経営側=管理職一般に対する不満
 に化けないようにしないといけません。経営側が責任を取るべきと言っていたら、いつの間にか若い40代の
 管理職に早期退職を取れというような議論になってしまうのが心配です。そもそも会社は、この人達をこそ
 今回のターゲットにしていますよね。

C) 先ほどNMSの退職勧奨の話をしました。それ以外に私が持っている情報をお話します。前回の早期退
 職時に、NEC&関連労働者ネットワークでは、面接アンケートと言うものをホームページ内で取りました。
 そこに寄せられた情報です。
  まず、面談の席では、上司から「あなたは仕事が変わることになる」と言われた人が最も多かったようで
 す。次いで多かったものとしては、「職場が変わるかも知れない」、「職場が無くなるかも知れない」、「あな
 たの能力を生かせる場所は社内にはない」、「あなたにとっては早期退職制度を利用することが得である」、
 「キャリア相談室に行ってみてはどうか」などです。
  面談回数も、本来は2回までに制限されていたはずですが、上司の意向で3回受けさせられた人が結構
 いた様です。アンケートでは約3割の人がそうだったと答えています。例えば40代の品質管理部門の主任
 の方ですが、1回目の面談では涙を潤ませた上司から「君の仕事は無い」と言われ、2回目の面談では逆
 に「早くキャリア相談室に相談しなさい」と言われ、3回目では本人がヤケになって「もう辞める」と言ったとこ
 ろ、上司は笑顔を浮かべたと言うことでした。
  「この会社にあなたの仕事はない」、「なぜ辞めないのか」、「自分で仕事を見つけなさい」などと言われて
 しまうと、今までまじめに仕事をしてきた人ほどショックを受けるようで、怒りのあまり早期退職に踏み切った
 と言う人もいました。
  以上が、私の掴んでいる現実の一側面です。同様のことは、今回も起きると思って間違いないと私は考え
 ています。