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ルネサス懇、参議院選挙を語り合う。
− まとめ − |
A) 本日は、ルネサス中心の話題から少し距離を置いて、1週間後に控えている参議院選挙をテーマ
の中心に据えて議論いたしました。
今回の選挙は、対抗勢力となるべく野党が弱く、争点も明確でなく、かつ猛暑のために投票率が下
がることも予想され、与党側にかなり有利ではないかと予測されています。一般に有権者の関心が向
いているのは景気対策などの経済問題と言われていますが、私たちは憲法が重要な争点だと考えて
います。すでに昨年末の衆議院選挙で自民党の他、改憲派の議員が圧倒的な議席数を獲得してい
ます。そして今回改選となる参議院の議席は野党が多数派を占めているため、ここで与党が勝利を
納めると、参議院でも改憲派の議員が圧倒的多数を占めてくる事になるでしょう。改憲のための発議
は衆参両院の2/3以上の賛成が必要ですが、この条件を満たすことが可能になってきます。この参
議院選挙の結果によって、まさに改憲が現実味を帯びてくるのです。
自民党はまず改憲の要件を規定した96条を変えようとしていますが、その先に2005年に公開した
新憲法草案の実現を目標としていることは疑いありません。この新憲法草案は、日本を戦争の出来る
国にしたり、国民の権利に制限を加えるなど、問題のある内容を多く含んでいます。労働組合活動さ
え影響を受ける可能性が多々ありながら、労働組合からは問題視する声がなかなか聞こえて来ませ
ん。
労働組合は確かに熱心に政治に取り組んでいる様ではありますが、その取り組みを見ると、組織内
候補を支持するようにと組合員に働きかけるばかりで、政策そのものの立案に組合員が積極的に関
与する場が与えられている訳ではありません。しかも電機連合の政策には、原発再稼働を求めるなど、
果たして組合員の意識と本当に合っているのかどうかも疑わしいものが含まれています。職場レベル
の活動も、電機や半導体業界の発展のために支持しましょうと言う勧誘の仕方になっていて、かつて
の会社ぐるみ選挙のやり方を脱却できていないと感じます。
いま、瀕死のルネサスに勤めている私たちにとって、組織内議員が当選することで、政治によってル
ネサスが復活し、私たちの雇用が守られ労働条件が向上して幸せになるなど、全く信じられない空想
に過ぎないのではないでしょうか。現実には、過去数年間にグループ全体で2万人もの雇用が失われ、
これから更に多くの人が退職しようとしています。そのような状況に居る私たちが本当に必要としてい
るのは、ルネサスの浮沈いかんに関わらず、きちんと生活を継続していける社会の仕組みではないで
しょうか。
議論の終盤では、社会に存在する死の仕組みについてお話いたしました。特に現代日本にあっては、
経済の仕組みによって死ぬというのが私たちに最も身近な脅威では無いかと考えます。私たちの命が、
会社の存続にあまりにも依存しすぎていて、雇用されることが命をつなぐこととほぼイコールになってい
ます。それは生活保護や失業保険などのセーフティネットの弱さにも原因がありますが、それらのセー
フティネットを更に縮小しようと言うのが現政権の基本的な方針です。いわば、死の仕組みの強化が目
指されているとも言えます。それは結局のところ、死の仕組みが存在することによって、私たちは嫌が
上でも厳しい生存競争に放り込まれ、その生存競争に利益追求の仕組みが寄生することで、私たちの
必死な働きによって、一部の者がものすごく儲かる構造ができあがるからです。だからこそ、そのよう
な仕組みを積極的に作り出し利用したいと考える勢力が必ず存在することを意識しておく必要があるの
ではないでしょうか。
私たちは、死の仕組みを温存、強化したまま、自己の努力や経済成長や軍隊などのパワーによって
命を守ろうとするのか、それとも死の仕組みそのものを取り除いていこうとするのか、どちらで行くべき
なのでしょうか。そのような観点を持ちながら、1週間後の選挙に臨みたいと思います。
本日は暑い中お集まり頂きましてありがとうございました。
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