ルネサス懇、育児施策を語り合う。

− ファミリーサポート手当 −

【ファミリーサポート手当】

A) では次に、ファミリーサポート手当はどうでしょうか。これはRTの家族手当とほぼ同じですが、扶養者
 一人あたり1万2千円から1万3千円に増額されているものの、配偶者の手当が6500円に減額されてい
 ますね。仮に妻と子供2人を扶養している場合、これまでは3万6千円だった手当が、3万2500円に減り
 ます。
  RS1は、もともと家族手当相当として1万8千円が役割給に含まれていましたが、これが無くなるとされ
 ています。以上から扶養家族の多い人は増額になりますが、独身者は大幅に減額になります。

B) 私は夫婦共働きで、子供は1人だから、差し引きで5千円の減額です。痛いです。

C) ファミリーサポート手当という名称自体が、ELのファミリーサポートファンドから取ったのだろうけど、制
 度の中身はRTですよね。名前でごまかしている様に感じます。対象がすべて扶養親族なんだから、「扶
 養手当」と呼ぶべきですよね。

D) しかしELのファミリーサポートファンドは、子供1人につき5千円でしたから、新制度では一気に倍以上
 ですね。年間で9万6千円も増えます。それからELには配偶者手当も無かったので、これで一気に扶養
 手当が増えることになります。

A) RTとELでは、現行制度に差がありすぎますね。

D) その代わり、ELにはペアレントファンドと言うのがあります。これは出産時に一時金として55万円が支
 給されるものです。これが新制度で廃止されるのも痛いです。長い目で見れば、月間の手当増額の方が
 多いので、収支としてはプラスですけど。

C) 制度として全体で見れば、ELにとってはプラスですけど、背景にある考え方自体はどうなのでしょうか。
 配偶者に対する扶養手当と言うのが少し引っかかりますね。

E) 私の年代などは、結婚を機に「寿退職」が多かったのは確かで、会社も半ばそういうものだと思ってた
 のではないかしら。
  昔は今みたいにフレックスも無かったし、育児休職も無かったし、週休1日だったしね。男女雇用機会均
 等法も無かったから、共働きを続けるのは大変でした。それで、大抵は結婚すると退社したり、子供が出
 来ると退社して、あとは旦那さんよろしくってね。旦那は旦那で、朝から夜遅くまで一生懸命働いて、家の
 事は妻に任せっきりで、ときには出張したり、単身赴任なんてこともありました。だから妻に家に居てもらわ
 ないと、まともに仕事を続けるのも難しかったのよ。どこもそういう会社だったってことよ。

F) 戦場で戦う夫と、銃後を守る妻の図式ね。性別役割分担意識が背景にあるのは間違いないわね。

A) そうは言っても、会社の都合から共働きを継続しにくい事情が以前は確かにあったし、それが故に、
 妻が退職して専業主婦になるのが普通だったのであれば、少なくとも、その世代は扶養手当を貰うのが
 当然ですね。

B) こうは考えられませんか。夫の長時間労働をしたり、出張や転勤をするが故に、妻が仕事を継続する
 のが困難になるのでしょう。それなら、これらの要件に扶養手当の金額を連動させてはどうでしょうか。
 いま残業代割り増しは130%ですけど、配偶者が被扶養者の場合、これに扶養手当分を20%上乗せす
 るとか、あるいは出張手当として、1日につき扶養手当を3000円加算するとか。

D) その理屈だったら、配偶者が専業主婦でなくとも良いと思いますよ。私も共働きですけど、妻が一晩
 いない時は、家事と子供の面倒をひとりでみないといけなくて、正直それよりも会社に残って3時間残業
 して帰る方が楽だと感じますよ。逆に言えば、私が残業して夜遅くに帰れば、妻にはそれだけ負担がか
 かっていますから、その分、手当を出して欲しいですね。毎月給料日に、貰った手当分の現金をまとめて
 封筒に入れて、妻にお礼を言いながら手渡したいです。

B) そうですね。その方が良いです。RS1は、30時間分の残業手当相当額が付きますが、残業割増の
 扶養手当は、実残業時間ベースで計算するのが適当でしょうね。

C) 旦那を”はした金”と引き換えに会社人間にする扶養手当なんて要らないから、そういう構造自体を
 何とかしろって私は思ったのですが、なるほど、そういう捉え方もありますか。

F) いいえ、扶養手当なんて無くして当然と言う社会になれば良いと私も思いますよ。会社だって働いて
 いない人の分までお金を払いたくないでしょう。そういう社会にするためにも、男性の労働時間を短縮し
 ないとね。残業時間に扶養手当のペナルティーを科すアイディアは、なかなか良いと思います。