ルネサス懇、一時金を語り合う。

− 一時金とは何か −

− 一時金とは何か −

A) ではようやく本題に参りたいと思います。一時金とはそもそもどんなもので、どうあるべきなのでしょう
 か。これについて見直してみませんか。日本では、年収に占める一時金の割合が高いと言います。逆に
 言えば、それだけ月例賃金が低いという事でもありますね。
  以前、桜美林大学の藤田先生が、こんな事を言われていました。「私達の月給が、3万円でも300万円
 でもなく、30万円なのはなぜでしょうか」と。それはつまり私達が暮らしていくのにそのくらいのお金が必
 要だからと言うのが答えでした。つまり給料の額は、私達の生活に必要な額によって決まる面が強く、こ
 れを生活賃金と言います。しかし現実には、月例賃金だけでは足らず、一時金も含めて生活賃金になっ
 ているのは間違いないと考えます。例えば電機連合が出している資料によれば、昨年度は貯金を取り崩
 している家庭が貯蓄をしている家庭を上回りました。一時金の低水準が、そのまま家計を直撃したのでしょ
 う。
  以上から、実質的に生活賃金の一部となっているものが、一時金と言う名の不安定な収入源になって
 いることが、本源的な問題なのです。だから私達の収入を、より安定した収入源である月例賃金の割合が
 増えるようにしていく事はとても重要です。今は高い利益率を上げた企業が6.0ヶ月以上の賞与をセンセ
 ーショナルに宣伝しますので、頑張って業績を上げれば収入が増えるのではないかと言う幻想を抱きがち
 なのではないでしょうか。しかし、毎月必ず貰える月例賃金が上がるほうが、より収入は安定しますね。そ
 の方が良いと私は思います。もちろん先にお話したとおり、現在の労使交渉は、「枠組み」の強さが最大の
 決定要素でしょうから、ルネサスエレクトロニクス1社だけが新しい方式を導入するのは困難だと言えるで
 しょう。

C) 例えばナショナルセンターなどを通じて、社会的にコンセンサスを得ていかないといけないということで
 もありますね。


− 労使の交渉のあり方 −

A) それから現在の交渉のあり方についても考えてみる必要があると思っています。皆さんは今の労使の
 交渉をどうみていますか。

D) 最近の一時金の交渉の様子を見ていると、企業がどれだけ利益を上げているのか、支払い能力があ
 るかどうかなどをとても気にしていますね。会社だけでなく、労働組合も気にしているようです。そして労働
 組合は、さも支払い能力いっぱいまで出させたという雰囲気で纏め上げている様に感じられます。でも本
 当にそうなのかなあと言うか、何かもやもやしてよく見えないのですよね。それは支払い能力と言うのが、
 言葉だけで数値化されていないからだと思います。

A) 「支払い能力いっぱい」というのがどこにあるのか、一意に決まると思いますか。

C) 思いません。だって会社の持っている金をどこに振り向けるかの違いでしょう。従業員の給料を篤くす
 るのか、設備投資に回すのか、借金を返すのか、無理やり利益を捻出して株主に配当を出そうとするの
 か、それとも内部留保を増やすのか。

A) そうですね。最近の春闘を見ていて思うのは、年初に株主はじめステークホルダーにコミットした業績
 目標という縛りがあって、春闘がそれによって強力に枠をはめられていることです。設備投資だって、年
 度の間に次々に実行して行くことで予算が減って行きますから、これも業績に対するストレッチになる分
 は限られています。結局、年度末になって業績を落としてでも一時金を増やすという選択は非常に難しく
 なっている様なのですね。ある意味、春闘が始まったときには春闘は終わっているとも言えます。これを
 どう考えますか。

C) 言い換えると、一時金が増えないような構造が出来上がっていると言う事ですよね。春闘で「私の生
 活はこんなに苦しい状況にある」と主張しても、びくとも動かなくなって来ている。ウェットなものが通用し
 なくなっているのだと思います。これは今の経営者がたまたまドライで鬼のようだと言うのではなく、個人
 の思惑を超えて、そういう構造が造られているからでしょう。ならば、こちらも一時金が取れる構造とか装
 置を作らなくてはいけないのではないでしょうか。たとえば、この基準を下回ったら必ずストライキに入る
 と言うような。我々もドライにならないといけない。

A) 一時金などの処遇は業績に連動するものなのだと言う考え方は、リーズナブルにも思えますが、これ
 が高じてしまうと、組合員一人ひとりにとって春闘自体が何なのかと言う風に思えて来てしまうでしょう。
 春闘で組合員が何と言おうとも、業績がこうだから、社外にコミットしているからと言われて一時金が決
 まってしまえば、組合員から見たときに、何をどうすれば交渉を動かす事が出来たのか、さっぱりわから
 なくなります。結局一時金の額は、労使の交渉ではなく業績で決まるのかと錯覚するでしょう。ここから
 春闘不要論が出てきて、そんな不要な春闘をやる労働組合に毎月数千円も払うのはアホらしいと言って、
 労働組合不要論に発展する危険性があります。でも実は、業績が上がったからと言って、従業員の処遇
 を向上する義務は経営側にありません。だから業績連動と言うのも、労働組合の成果の内だと理解して
 おく必要があります。

D) 私はウェットな部分があっても良いと思います。いまどき、隣の組合員がどんな思いでいるいのかも知
 らないと言うのが普通ですよね。だからどんな面で苦しいのかとか、そういう訴えは必要だと思いますよ。

A) そうですね。経営と言うマクロな問題に取り組んでいると、ひとりの人間の抱える悩みとか苦しみとか
 は、小さな問題に思えてくるのが普通だと思います。だけど、葛藤から開放された人間の心は、暴走をし
 がちだと言うことを忘れてはいけません。如何に今どきの経営者の判断がドライなものになろうとも、暴走
 をさせないためにウェットな訴えをしていくことは大事でしょう。

B) 組合員側としてはどうなのでしょうか。私の実感では、ウェットな訴えを嘲笑するような雰囲気が、組
 合員の側にあるような気がします。「私達の組織はこんなに頑張って成果を上げている」という訴えはま
 だ良いです。だけど「私はこんなに苦しんでいる」的な訴えに、なぜかとても冷たい反応があるのです。
 特徴は、訴えの主体が「私達」ではなく「私」であること、内容が「成果」ではなく「心情」であることです。
 私が思うに、特に私達のような就職氷河期世代は、社会の中で冷たくされてきたと言う思いがあると思
 います。自分達が冷たくされたことが、他者に対する冷たさとなって返ってきている気がします。それとや
 っぱり、自分たちの地位とか将来とかに、本源的な不安があるのですよね。それで他人を受け入れる余
 裕が無いのだと思います。

A) ウェットなものに組合員同士が共鳴できなくなっているのですね。今の労組は、いろいろな要求を持っ
 た人たちの集まりです。昔みたいに全員が賃上げで一枚岩になれるような組織ではなくなりました。そう
 いう組織では、お互いの要求が異なることを前提に、共通の妥協点を見出していかないといけません。
 個人の思いというのは、まさに原点です。この原点を確認する、つまりはお互いが相手の思いに共鳴す
 ること無くして、共通の妥協点など見出しようがありません。このまま放っておくと、労働組合は、ばらばら
 に空中分解しますよ。

D) その共通の妥協点ですが、いまは会社の成長とか利益とかにすり替えられていますね。確かに会社
 の経営が傾いて困るのは間違いありません。利益を上げれば労働者への還元も増えるでしょう。だけど、
 原点の確認を怠ってしまえば、会社の成長が労働組合員の目的そのものであるかの様な錯覚を助長す
 ることになりませんか。そのために数千人のリストラをしても、長時間労働をはじめものすごい我慢を強い
 られても、それで経営が持ち直して多くの組合員が救われるのなら正しいのだという安易な発想に直結
 しそうです。会社を去る数千人が仕事の出来ない人達なら望ましいけれど、中に会社にとって役に立つ
 人が含まれているとまずいと言うような議論になったりとか。

B) 役に立たない人は居なくなってしまえと言うことですよね。組合員がそんな事を言ったら本末転倒です
 よね。だけど、何度も言いますが、今の若者はそもそも正社員として会社に入ることさえ難しいのです。
 役に立つはずの人でも就職が困難だし、非正規のまま努力している人もいっぱいいますよ。そのことも考
 えて欲しいです。

D) それも含めてウェットなものに共鳴できるかどうかだと思います。労働組合と言うのは、自分の組合に
 属する人だけ守れれば良いと言う発想を固定化してはいけない組織だと思いますよ。


− 現状打開の方図 −

C) ウェットな訴えも大切だということを確認しました。私がドライになった方が良いと言うのは、そういう
 ウェットな訴えが、今の一時金の要求実現にはあまり役に立たないのではないかという意味です。経営目
 標によって始めにフタをされているからです。いまはみんな、会社の業績が悪いから一時金が低いと思っ
 ているでしょう。だけど、この「始めにフタ」と言うやり方をされると、実は業績が良くても一時金は厳しいも
 のになると思うのです。年初にそれだけ高い目標を発表してしまえば同じですよね。

A) 先に過去の営業損益と妥結月数の関係のグラフを見ましたね。確かに業績と比例関係にあるのだけれ
 ども、直線がかなり横に寝ている事に気づきます。このグラフから素直に読み取ると、営業損益を2桁、仮
 に10%にしたとしても、5.0ヶ月行くかどうかという様に見えます。

B) 驚きますよね。私は営業損益率が2桁なら、もっと行くと思っていました。だけど現実は、25%とか30
 %とかにならないと6ヶ月行きそうにありません。なんだか夢が無いですよね。いや、本当に社員が6.0
 ヶ月の一時金を目指しているのかどうかは別として。

A) 利益率25%はハードルが高すぎますね。近頃業績がぱっとしなかったので気づきにくかったのですが、
 いつの間にか5.0ヶ月も難しくなっていることが判りました。しかし5.0ヶ月と言うのは、今でも電機連合の
 標準的な要求月数です。実際90年代までは、5.0ヶ月では少ないという感覚でした。一時金の支給水
 準も確実に下がってきている様です。

D) 今や5ヶ月がむかしの6ヶ月に相当する感じですね。5.5ヶ月でも夢のまた夢に思えます。

C) だから基準を下回ったら即ストライキと言う形で、厳格運用をするのもひとつの手段だと思うのです。
 これまでストライキは経営に対するある種の牽制であり、その発動には駆け引きがありました。駆け引き
 しても意味が無いのなら、ルール化するという方法もあるでしょう。

D) 一理ありますね。それなら経営目標が出た段階で、このくらいの目標にはこのくらいの一時金が妥当
 と言うラインを早々に労組も示してしまいましょう。ストライキの基準もです。その方針を夏の定期大会で
 確認すれば良いのではないでしょうか。

A) それもひとつの方法ですね。「始めにフタ」と言う強力なリミッターを突破するには、対抗し得るだけの
 強力なパワーが必要でしょう。今も昔も、労働者の持っている最も強力な実力行使がストライキであるこ
 とに変わりはありません。これをどう発動すれば有効に機能するのかは、方法論の問題です。株主など
 のステークホルダーが上から押さえつけている重い「フタ」を打ち破る適切な方法を見出しましょう。これ
 は1社単独でもできることです。しかしより理想的には、先にも述べたように、一時金のあり方を見直して、
 月例賃金重視の賃金体系にしてしまえば、そもそも4ヶ月を割って生活賃金が欠損する事態にはならな
 いと思います。一時金の支給水準事態が下がっている現状を鑑みれば、一時金頼みの賃金のあり方を
 見直しても良いと思います。

B) 私はちょっと引っかかりますね。一時金が業績のバッファーになっていると言うことはないでしょうか。
 月例賃金に振り向ければ、業績の悪化を賃金原資のストレッチで吸収することができなくなりますよね。
 その分、雇用に手をつけざるを得なくなるような事にならないでしょうか。

A) 経営の言い分としては、あり得るでしょうね。じゃあ今までは雇用が守られてきたのかと言いたいです。
 2006年から2009年にかけて、団塊の世代と呼ばれる戦後直後生まれの世代が大量に定年退職しま
 した。年功序列賃金で比較的高い報酬を得ていた世代が一度に退職したことで、企業としては賃金の負
 担がかなり軽くなったはずなのです。一昔前までは、労働組合が賃上げを要求すると、経営側は賃金総
 原資が増える事を言い分にして対抗していました。その総原資がきっと減っているはずなのです。でも最
 近の労組はどういう訳か賃金総原資の話をしませんね。もっとこの問題を追及すべきでしょう。

B) 私は先日、日本の製造業の平均賃金が09年度は前年比で10%以上も減ったことについて、仲間
 内で話をしました。製造業の雇用自体が増えていないのですから、賃金原資も10%以上も減ったに違い
 ないですよね。なのに、電機各社は採用を増やしていません。学生の内定率もすごく低いですよね。どう
 いう事なのかと思います。今までは、団塊の世代が会社にしがみついているから、若者の雇用が生まれ
 ないのだという噂もありましたが、ここに来て嘘だった事が判明しました。

A) その減った分の原資をどうするつもりなのかを、労働組合は追及しないといけないでしょうね。一時金
 として社員に還元する方法もあるでしょうし、月例賃金で還元する方法もあるでしょう。もし将来の人件費
 高騰が必至なら、今の賃金は据え置くとしても、将来の雇用を可能な限り約束する等も考えられますね。


− 労働者の多様な要求への対応 −

B) そうですね。それと平行に、私は働くものの報酬とは何かについても問いたいです。仮に一時金の交
 渉時に、「私達はこんなに頑張っている」と主張して、会社がああそうかと言って労組の要求を呑んだらど
 うなりますか。100日プロジェクトに沿って今後は各事業体で業務を遂行していきますよね。きっと今まで
 よりも大変になると思うんです。だけど今までだって大変でした。わずかコンマ数ヶ月のお金と引き換えに、
 ものすごく忙しくなるかも知れないと思うと、一時金はそんなに貰えなくてもいいかなという気持ちにもな
 ります。2.0ヶ月でも良いから、これ以上忙しくしないでくれと。だって、私のような子育て世代は、育児に
 も時間を取られますよ。これ以上頑張れと言われても、頑張りようがないですよ。ますます家族にしわ寄
 せするしか無くなって来ます。だから、6.0ヶ月はおろか、8.0ヶ月だって、私にはそんなに魅力的には
 思えないのです。そんな一時のお金よりも、家族が継続してやって行ける事の方がはるかに重要です。
 私達は年金だってもらえるかどうかわからないのですよ。夫婦で共働きをしていることが最大の財産なん
 です。

C) 社会全体でみても、だんだん生活の維持が難しい時代になってきていますよ。たくさん利益を上げて、
 その分たくさん貰おうという考え方は、確かに多くの人のニーズから次第に遠ざかっているかも知れませ
 んね。

B) 男が一家の大黒柱として働き、女が専業主婦をしていた時代の考え方ではないでしょうか。もう古い
 ですよ、たぶん。私としてはそれよりも、例えばR&Dの方にお金を使って、インフラを整え、パソコンなど
 ももう少し性能の良いものに代える事で、業務の効率化を図って欲しいのですよね。そうすれば、生産性
 も上がって、もう少し私たちの負担も軽くなると思います。

A) 仮に仕事が楽になったとしても、労働時間が短縮できるとは限りませんよ。会社にとって利益は大きけ
 れば大きいほど良いのです。だから効率的な働き方のまま、同じように長時間働かせてもっと儲けようと
 考えるでしょう。効率化して楽になれば、その分仕事を増やすか、または人を減らすかです。そのために
 一時金を見せ金に使うかも知れませんよ。

D) 見せ金と言えば、NECグループの主任の一時金なんて、本当に見せ金だと思います。主任は「Vワー
 ク」と言う裁量労働制を適用されます。Vワークは残業代が月あたり約20時間分しかつかない代わりに、
 一時金が少し優遇されているのです。新任の主任でも100万円を超えることがあります。それまでの一
 時金が70万円くらいですから、急に上がってびっくりするのです。それで、最初の内は、こんなに貰える
 のならもっと頑張らなくてはと思って、貰っている残業代以上に働いたりするのですが、主任を何年もやっ
 ている内に、一時金がこれよりも上がらないことに気付くのです。一時金は上がらないし、月例賃金もベ
 ア0回答の連続であまり上がらないし。これでは頑張って仕事の質を上げること自体が、だんだんアホら
 しくなってきてしまいますよね。一時金の配分の仕方として、本当にこれで良いのかどうか、再検討が必
 要ではないでしょうか。

C) 社員にはいろいろな思惑があると思います。頑張って働いて、その分は賃金で報われたいと思う人は
 いるでしょうね。それも成果で報われたいという人も居れば、厳しい状況で長時間働いたことを評価して
 欲しいという人もいるはずです。残業してでも生活賃金を稼ぎたい人も居れば、残業の出来ない人もいる
 と思います。努力している社員も大勢いるでしょうし、努力の機会が得られない人もいるでしょう。育児関
 係で短時間勤務している人は、会社で仕事をして、家で家事育児をして、毎日がダブルヘッダーのように
 なっていながら、賃金は安いという不満もあるかも知れません。そして何よりも生活が欠損している母子
 家庭、父子家庭、要介護者や障がい者を抱えて働き方に制限のある家庭、教育費・養育費の負担の大
 きい家庭など、本来は年間4.0ヶ月でも足りないかも知れませんね。こうした様々な思惑に、一時金だ
 けでは応えられなくなっている現実があると思います。

A) その通りですね。そもそも会社から支給される賃金だけで、各家庭の財政上の問題を解決できる訳は
 ありません。こうした問題は、賃金だけでなく、社会保障や福祉、税金や公共事業の問題などとも絡めて
 考えないといけません。これらについては、賃金問題として別に議論の場を設けたいと思います。
  それから、いろいろな思いを持った組合員に対し、如何にして労働組合が各自の要求を受け入れて、高
 次の要求に昇華していくかという仕組み造りも欠かせませんね。

C) EL労組は春闘で職場会をやっていないという話がありましたが、そうすると一般組合員が意見を言え
 るチャンスが無いと思います。自分がどういう思いで居るかを表現する機会が無かったら、労働組合への
 参加意識は薄れますよね。これは労組のみならず、会社に対する帰属意識の希薄化に繋がらないでしょ
 うか。「会社は仕事をして、対価として給料をもらうところ。だから仕事が出来ればいいのだ」と言う意識で
 いても、仕事が順調な間は特に問題は感じないでしょう。だけど私の様な、社員としては黄昏の世代から
 見ると、そりゃあ長い会社生活にはいろいろあって、平坦ではありませんよ。悩むことも沢山あるはずだと
 思うのです。そんな時に、会社の中には自分の本当の思いを表現できる場が無いとすると、自分ひとりで
 悩みを抱えてしまい、もし解決の糸口が見出せないとなると、そこから失望感のようなものが広がって行
 きそうです。だけど社員の本当の要求とか思いとかをくみ上げる事の出来る組織というのは労働組合が
 最大ですから、やっぱり大切なんですよね。今後の組織のあり方について更なる発展が求められている
 のかも知れませんね。

D) どんな要求でも、突き詰めれば個人の要求だし、どんな悩みでも突き詰めれば固有の悩みなんです。
 だけど、個人の要求や悩みを口に出して言いづらい雰囲気がありますね。

B) 私たちの世代では、仕事の悩みは上長と話し合って解決するのが当然と言う感覚があります。けれど
 も、それが上手く行かなかった時に、次に相談する先が無いのです。気が付けば会社のメンタルヘルス
 相談窓口しか無いという感じ。だから、上長との折り合いがつかなくて転職した同期も居ます。メンタルを
 病んでしまった同僚も。

A) 問題の方向性が一時金を離れて深化していますね。このような問題は、賃金や一時金に限らず、労働
 時間やメンタルヘルス、労働組合組織のあり方など、さまざまな局面から論じた方が良いでしょう。では今
 日のところは、そろそろまとめに入りたいと思います。