ルネサス懇、2012春闘を語り合う。
− 春闘アンケートより −
【春闘アンケートより】
A) ではここで、春闘アンケート結果をおさらいしましょう。ルネサス関連の回答数は、昨年と同じ92件
でした。グループ社員4万6千人の0.2%ではありますが、ある程度の傾向は見えると思います。
最初に「生活実感」からです。今年の特徴は「かなり苦しい」と答えた人が多いことです。昨年19%
だったのが、31%まで増えました。「やや苦しい」の33%と合わせると、全体の2/3が苦しいと答え
ています。
<生活実感> <賃上げの必要額>
A) 次に賃上げの必要額です。ここでは、「5万円以上」と言う回答が増えていて、昨年の35%から42%
にアップしています。3万円以上を必要とする回答が、実に全体の81%を占めています。
B) 直近の賃金一時金カットが影響していると思われますね。そう考えると、「5万円以上」と言うのは、い
くらなのでしょうね。中には10万円とか、それ以上必要だと言う人もいるのではないでしょうか。
A) 続いて残業時間についてです。傾向としては、月60時間以上の長時間残業者が、昨年の6%から11
%に増えている一方で、20時間未満が26%から30%に増加していますので、残業の多い人と少ない
人の差が開いています。特定の人に負荷のかかる状況が顕著になってきているのでしょうか。
B) 100日プロジェクトにより、組織変更や人の異動が激しくなっていますから、業務の組み換えのあった
部門とか、人の減った部門などでは、過重労働になっているのかも知れません。個人レベルでも、新しい
部門に移って仕事が増えた人とか、逆に異動した人の分まで仕事が増えた人などが居るのではないで
しょうか。
A) 心身の健康については、昨年とは質問の仕方が異なっていますので比較は出来ませんが、健康と回
答されている人が47%と半数を切っています。中身を見ると、30代と40代に心の健康に不安を感じてい
る方が多いのが目に付きます。
<残業時間> <心身の健康>
A) 困っていること、不安なことでは、「老後、年金」とする回答が、かなり増えています。政府与党が掲げ
る「税と社会保障の一体改革」により、意識する機会が増えているのが原因ではないかと思われます。
「人員削減・リストラ」は、昨年よりかなり減りました。昨年は早期退職がありましたので、多かったものと
思われます。
<困っていること、不安なこと>
A) 最後に、自由意見として頂いたものを紹介して行きたいと思います。今年の特徴は、将来不安に関す
るコメントが、かなり多いことです。
まず、20代の方からは、多忙な業務に耐えてもちっとも賃金が上がらず、将来が不安なので、子供を
持つのも家を買うのも躊躇されるとの意見を頂いています。これは全く、今の若い方に普遍的な状況を
訴えたものだと思います。それから30代の方から頂いた6件のコメントでも、うち3件で賃金が上がらな
いことを訴えています。住宅ローンの支払いが厳しいとの意見は、40代の2名の方からも届いています。
C) 年功賃金と言う意味では、昔の方が今よりも、もっと若い人の賃金が低かったと思います。ただし当
時と今が違うのは、昔は毎年ベースアップがあって、賃金の上がり幅が大きかったから、今は苦しくとも、
将来は改善するだろうとの見通しが立った事です。今は、ちっとも賃金が上がって行きませんからね。
B) 収入が増えないのに支出が増えているのと、今の会社にいつまで勤められるか分からないというの
が、将来不安の源ですよね。
A) 40代の方からは、裁量労働での長時間残業を訴えるものが2件来ています。裁量労働は、月30時
間分の残業手当がつくものの、実際にはそれ以上の残業をしているケースが多く、武蔵などは平均残
業時間が常に30時間を上回っている状態です。月30時間と言うのは、年間換算で360時間ですから、
これは厚生労働省が定めている年間残業時間の上限にあたります。超えても違法ではありませんが、
極めて望ましくない状態だと言わざるを得ません。
D) 区分Eの裁量労働制であるVワーク制度には、みなし時間を超えた残業時間分は、別枠で残業手
当の申請が出来ました。例えば、月に60時間残業すれば、Vワーク手当の20時間分を引いた40時間
については、残業代を申請できたのです。制度一元化後の新しい裁量労働制では、この申請制度が無
くなってしまいました。今後、実質的なサービス残業が横行するのではないかと心配しています。
A) 最後に60代の男性から。「最低賃金のアップ。消費税をなくして。年金のアップ。誰でも正社員に。」
本当にそうなれば良いと私も思います。