ルネサス懇、「2011春闘」を語り合う。

− 一時金の行方 −

【一時金の行方】

A) それでは、次に一時金についても議論しましょう。労働組合は4.5ヶ月を要求しました。この要求月数
 をどう見ますか。

B) RTは、昨年も4.5ヶ月を要求し、妥結月数は4.0ヶ月でした。しかし昨年は600億円を超える莫大な
 営業赤字の中での要求であったのに対し、今年は曲がりなりにも黒字が出ている状態での要求と言うと
 ころに、大きな違いがあります。単純に業績と比較すると、低すぎる要求のように思えます。
  そもそもRTは、従来5.0ヶ月の要求を基本としてきました。個社のときに要求が5.0ヶ月を割り込んだ
 のは、昨年と一昨年の2回のみです。多少なりとも営業黒字の出ている年は、すべて5.0ヶ月以上を要求
 してきましたから、従来の延長線上であれば、当然今年も5.0ヶ月を要求すべきだったでしょう。



                    表1 : RTの要求月数と妥結月数
               



A) ついでに言いますと、若干でも営業利益の出ていた2008年以前では、妥結月数が4.5ヶ月を下回っ
 たこともありませんでした。だから、今回要求が4.5ヶ月になってしまっている事に対しては、要求水準そ
 のものの著しい低下を感じますね。

B) ELとくっついたから、こうなってしまったんだという声も聞きますが。

D) 確かにRTよりもELの方が、一時金の水準が若干低かった様ですからね。ちなみに、前回使用したグ
 ラフから今回の妥結月数を占うと、だいたい4.3から4.4ヶ月になります。ELの感覚としては、4.5ヶ月
 要求というのは、まずまず適当な感じがします。



       グラフ3 : 営業損益と一時金妥結月数との比較 (ELの2009年分は考慮してしない)
           



B) RTは、要求月数と妥結月数とのギャップが0.5ヶ月くらいあるのが普通ですから、これでは電機最低
 基準の4.0ヶ月に張り付く結果になるのではないかと心配しています。

A) 要求月数に対する見方は、RTとELで少し異なるようですね。しかし大切なのはもちろん実際の妥結
 月数です。従来の延長なら4.3から4.4ヶ月になりそうだということですが、本当にそうなるでしょうか。
 第一回目の交渉記録を見ると、何となく怪しい雰囲気ではありませんか。
  2月17日の速報RUNには、会社側の見解として、「要求は応えることが到底困難。過去の水準に捉わ
 れず、独自の水準を考えていくことが妥当」と書かれています。

C) 「過去の水準」とは何を意味しているのでしょうかね。過去のRTの水準のことでしょうか。つまり4.4ヶ
 月などとんでもないと。

B) 「独自の水準」という言葉も気になります。過去のRTでもなくELでもなく、もっと低い水準を意味してい
 るのでしょうか。

A) 会社統合によって一時金の水準が下がるのかどうかは、重要な注目点です。その意味で、まさに今回
 の春闘は注目に値します。気になるのは、今回も企業体力論とか支払能力論とかが強調されるに違いな
 いという点です。我々はこれまで、この様な議論には企業の内部留保を論じることで対抗して来ました。
 そこで一応今回も、内部留保について少し見ておくことにしましょう。