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ルネサス懇、「100日プロジェクト」を語り合う。
− その他の懸念事項について − |
− 商流の統合によるリストラ −
A) 主だったテーマについては議論できたと思います。今まで話の出ていなかったことで、他に何か取り
上げておきたいことや、心配なことなどはありますでしょうか。
C) 商流の統合の問題はどうでしょうか。4月に販売部門が統合しましたね。これは旧NECエレの販売部
門が旧ルネサス側に吸収される形で実行されました。しかし商流と言えば、販売だけでなく物流とか倉
庫とか、特約店とかも絡んでくる話です。これらの統合もかなり進むのではないでしょうか。数年かかる
かも知れませんが、最終的には今の半分くらいの規模にまで縮小されるのではないかと思います。現
段階では親会社への異動とか、早期退職とかが画策されている様ですが、それだけでは終わらないで
しょう。だから継続してウォッチングは必要だと思います。
− システム統合関係 −
D) システム統合の件も重要だと思います。NECエレは数年前にGBTというシステムを立ち上げました。
これは、製品を軸にして、受発注から生産から出荷までを管理する生産管理のシステムと、開発試作か
ら量産から保守廃止に至るまでの製品のライフサイクルを扱うシステム、それに製品毎の技術情報の
データベースを統合した巨大なシステムです。開発には数百億円がかかりました。ところがこのGBTの
存続が危ういと聞いています。
C) 旧ルネサスも似たような統合データベースを持っていますね。それに生産管理はすでに旧ルネサスの
システムを使う方向で進んでいます。販売部門の使う受発注システムもです。担当の人達は苦労してい
るみたいですよ。
D) もっともGBTは技術サイドにはかなり評判が悪かったので、技術系の部門からはあまり文句は出てい
ない様ですね。
C) どんなところが評判が悪かったのですか。
D) 簡単に言うと、複雑で訳が分からないし、システムは重たいし、融通が利かないし、おまけに役に立た
ない。一番許せないと思うのは、苦労してデータをシステムに入力しても、それが何も生きない事です。
ただ面倒くさいだけ。だから開発部門の人は積極的に使おうとしていませんね。当然だと思います。もっ
とデータ集計機能や分析機能をどんどん開発して、役に立つシステムにしていかないと。これはNECエ
レの弱点ではないかと思うのですが、全社的な体質として歩きながら考えるようなところがあります。シ
ステム開発者はユーザーにバグ出しをさせている感じ。コンセプトを練るのが上手くないのだと思います。
B) コンセプトを練るのは旧ルネサスの方が上手いらしいと私も聞いています。しかし、持っているシステム
の数は旧NECエレの方が圧倒的に多いですね。電子化が進んでいるという感じです。開発側から言わ
せてもらうと、今回の統合で例えばIPコアなどの保有状況とか使用状況を確認しているわけですが、これ
らがきちんとシステムで管理されていることが重要です。
− ファブネットワークとは? −
A) 生産関係についてはどうでしょうか。先に工場の閉鎖問題や先端プロセス開発に関わる問題は議論し
ましたが、後工程の工場などはどうなると思われますか。
B) 会社の発表資料を見ると、「ファブネットワークの構築」なんて言葉が出てきますが、何のことかさっぱり
わかりません。
C) 大雑把に言うと、自社工場とサブコンの工場とをうまく使っていきましょうという事だと思います。製品の
ライフの短いもの、所要の変動の激しいもの、一時的に大量に流れるものなどは、サブコンを活用して、
自社工場の設備投資を抑えながら生産力を確保していくと言うことです。これは従来からやっていました
ね。
D) ポイントになるのは、複数の工場の認定を開発段階で取れるかどうかです。一旦量産になってしまった
製品は、あとで工場追加をしようと思っても、顧客が了解しなかったり、なかなか認定の取れない場合が
あります。試作や評価の手間も、後でやるほうが余計にかかります。歩きながら考える体質だと、余分な
苦労を背負い込みますね。
C) 単にファブネットワークを構築しますではなくて、どう構築していくのかコンセプトを出さないといけないと
いうことですね。
D) そうです。それと、私が気になっているのは前工程の方です。前工程もファブネットワークという言葉が
使われていますが、それ以外に社内工場のクロス生産という言葉も聞きました。これは例えば、高知の
6インチの製品を山口でも造れるようにしましょうと言うことの様です。だけど、前工程の工場追加と言うの
は、後工程よりもずっと難しいですよ。下手をすると何度も試作をやり直して3年くらいかかります。6イン
チのレガシーな製品でそういう事をやるのは、生産のフレキシビリティを確保するためと言うよりも、高知
を売却した時のために製品を逃がす場所を確保するのが目的ではないのかと思いました。
A) いろいろなご意見有難うございました。
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