2010春闘結果

3月17日に電機大手の2010春闘回答が一斉に行われました。
ルネサステクノロジはかろうじて一時金2.0ヶ月をキープしましたが、
その他の要求項目では思うような成果が上げられませんでした。
一方、NECエレは、一時金の回答が1.75ヶ月となり、
電機最低基準を下回る結果となりました。

以下に春闘結果と評価を示します。
さて、みなさんはどのようにお感じになったでしょうか。
春闘集約アンケート結果もあわせてご覧下さい。

項 目 判定 判定
賃 金 月例賃金 要求:賃金体系維持(ベア無)

回答:賃金体系維持

評価:もとが最低レベルの要求であったので、達成感は無い。
要求:同左

回答:同左

評価:もとが最低レベルの要求であったので、達成感は無い。
一時金 要求:NEC業績連動方式採用。


回答:1.75ヶ月


評価:電機最低基準の2.0ヶ月を割り、非常に低い水準となった。
× 要求:半期で2.25ヶ月(4.5ヶ月の半分)。

回答:年間4.0ヶ月の半分。(夏季一時金のみ締結のため。)

評価:電機の最低要求基準はかろうじて保ったが、親会社の三菱が5.02ヶ月、日立も4.55ヶ月であり、大きく水を開けられたと言える。
基幹労働者賃金 要求:30歳の基幹労働者(A職群)の賃金を、主任昇格込みで32万0500円とする。(昨年と同じ)

回答:現状通り。

評価:現状維持のため、特になし。
要求:30歳のRS2の賃金を30万2200円とする。(同左)


回答:現状通り。

評価:現状通りのため、特になし。

産業別最低賃金 要求:15万3500円とする。
(1000円引き上げ。)

回答:未了。

評価:
 
要求:同左


回答:15万3000円(現行より1000円の引き上げ。)

評価:特になし。
改正労働基準法への対応 時間外割増率の引き上げ 要求:時間外労働が1ヶ月40時間まで
 平日:30%
 休日:50%
時間外労働が1ヶ月40時間以上
 平日:50%
 休日:50%


回答:時間外労働時間が1ヶ月60時間までは現行通り。1ヶ月60時間を超える分については、平日休日ともに50%割増。

評価:法定基準の60時間以上から5割増しは、諸外国の割り増し率に比べて依然かなりの低水準である。これでは事業所によって月平均30時間を超えている長時間残業状態改善への実効性は薄いと考えられる。
要求:同左







回答:同左。




評価:同左。
時間単位休暇 要求:有給休暇のうち5日分までを時間単位で取得可能とする。

回答:要求通らず。

評価:他の施策で代替可能と会社は主張。組合として決め手となる根拠を欠いたのではないか。
× 要求せず。 ×
育児・介護関係 所定外労働免除 明確に要求せず。
(現行は年間150時間。)

回答:特に無し。

評価:改正育児介護休業法に則るものであり、労働協約には盛り込まれると考える。
要求:3歳までの子を養育する労働者に対し、所定外労働を免除する

回答:要求通り。

評価:法律に関わる事項のため、要求の有無に関わらず実現すべきもの。その意味では特に評価に値しない。

育児短時間勤務 要求:小学校卒業まで延長可能とする。(現行は小学校3年生末まで。

回答:要求通らず。

評価:予想に反し、要求は通らなかった。一時金を巡る攻防に力を注ぎすぎたためだろうか。会社側には来年以降への交渉カードとして温存されてしまった。
 
× 要求:同左。


回答:現行通り。

評価:同左。

×
介護休暇制度 要求:要介護状態にある家族1名につき年5日の介護休暇を新設。(ファミリーフレンドリー休暇として取得しない場合は無給。)

回答:要求通り。


評価:
法対応として実現すべきものだが、ファミリーフレンドリー休暇を使用可能とすることで有給休暇に出来る可能性を付加した。
要求:要介護状態にある家族1名につき年5日の介護休暇を新設。



回答:要求通り。


評価:法律に関わる事項のため、要求の有無に関わらず実現すべきもの。特に評価に値しない。

介護休職制度 要求せず。 × 要求:1介護事由につき、通算2年以内の必要期間とする。(現行は1年)

回答:現行通り。

評価:NECエレが要求していなかった項目のため通らなかったと考えられる。

 
×
子の看護休暇 要求せず。


NECエレは2008年に取得済み。
要求:子1人に対し、年5日の看護休暇を付与する。

回答:要求通り。

評価
法律に関わる事項のため、要求の有無に関わらず実現すべきもの。特に評価に値しない。
 
専業主婦(夫)除外規定の廃止 要求せず。





NECエレは2008年に取得済み。
要求:育児休職および、育児または介護による時間外就業と深夜残業の免除に関し、対象外とする配偶者の用件を削除(配偶者の育児休職取得に関わらず、取得可能とする。

回答:要求通り。

評価法律に関わる事項のため、要求の有無に関わらず実現すべきもの。特に評価に値しない。

父親の育児休職の促進 明確に要求せず。



回答:特に無し。

評価:改正育児介護休業法に則るものであり、労働協約には盛り込まれると考える。 
要求:父親が産後8週間以内に育児休職を取得した場合には、再度育児休職を取得可能とする。

回答:要求通り。

評価
法律に関わる事項のため、要求の有無に関わらず実現すべきもの。特に評価に値しない。
配偶者の転勤を事由とする休職制度 要求:配偶者の転勤により、やむを得ず就業を断念する従業員に対し、最長4年の休職を認める。

回答:要求通らず。

評価:現在の退職者エントリー制度が出来てまだ2年であるため、制度の改定には至らなかったと考えられる。

 
× 要求せず。


×
その他 労働災害、通勤途上災害補償に対する企業付加の引き上げ 要求:業務上死亡の場合の特別弔慰金を3400万円(現行3200万円)、通勤途上災害の場合の特別取扱1700万円(現行1600万円)とする。

回答:要求通り。

評価:電機連合の統一要求基準のため各社横並びで実現したと考える。

要求:同左




回答:同左


評価:同左。
帰宅交通費 要求:単身赴任者に認められている月1回の交通費支給を、独身者にも認める。

回答:要求通らず。

評価:統合会社では1年以内には制度の統一化が図られるのではないかと考える。
 
× 要求:転勤等により別居した場合の帰宅交通費支給回数を2回/月とする。


回答:要求通らず。

評価:同左。
通勤費支給基準の見直し 要求:最廉価を基準とする現行制度の見直し。

回答:未定。

評価:NEC本体は今後の具体的な議論のなかで改善されていくと思われるが、ルネサスエレクトロニクスがどうなるかは不明。
 
要求せず。
フレックス 要求:フレックスタイム休止の解除

回答:フレックス休止解除。

評価:NEC本体はコアタイムを8:30からとする「富士通方式」を採用したが、NECエレは従前どおり10:00からとした点が評価できる。
 
要求せず。
総論 ストライキ  交渉の終盤まで、一時金2.0ヶ月をかけてストライキをすると言っていたが、結局1.75ヶ月で妥結し、ストライキには入らなかった。その理由説明がよくわからないので、職場からは非難の声が上がっている。 ×  スト回避ミニマム基準が満たされたため突入せず。
総合  昨年の一時金が通年で2.3ヶ月と前代未聞の低水準だったため、失地回復が期待されていた春闘だった。しかし一時金の妥結額は1.75ヶ月となり、電機最低基準をも下回ったことに職場の失望感は大きい。組合がストライキに入らなかった理由説明もあやふやで、職場の納得を得られていない模様。統合会社発足を目前に控えて職場のモチベーションが最低レベルに落ちており、暗雲が垂れ込めている。
 フレックスタイム休止解除が予定通りなされ、NECとは異なりコアタイムを従前どおりとする完全復活を遂げた点はある程度評価されている。
×  総合的に見て、NECエレを上回る回答を引き出した春闘であった。
 一時金2.0ヶ月は、とりあえず電機最低基準を満たしたことで、可もなく不可もないといった職場の評価である。また、今年の賃金10%カットが予定通り来年から無くなるので、総合的に年収はかなり上がる(あくまで対前年比)ことに、やや期待感がある。
 労働協約の改定事項として取り組んだ残業代割増率の改定は、残念ながら法定基準どまりであった。60時間以上からの割り増し5割では、対象者が少ないためか、職場からは評価されていないようだ。(注目度低い。)